平成17 年度 環境技術指導者養成講座(前期)

             自 然 再 生
                 竺 文彦(龍谷大学理工学部環境ソリューション工学科)

1.自然再生の考え方
 これまで、人類は自然の脅威とたたかい、人間の社会を築き上げてきたが、現代の社会は膨大な石炭、石油、天然ガスのエネルギーを利用し、強力な機械力やコンクリートを用いて、嘗てないほど自然を開発し、環境を汚染してきた。
 地球規模の環境問題に対しては、今後、エネルギーの見直しと生物との共存が重要な課題である。自然の開発や都市化によって、多くの生物が絶滅に瀕しているとされており、地球上で人類のみが繁栄するのではなく、多くの生物種を保存しながら、他の生物と共存することが重要であると考えられるようになってきた。

 このため、都市化された空間に意識的に生物の生存する場を創造していくことが始められ、そのような場所をビオトープと言い、そのような工事手法を近自然工法と呼んでいる。
 したがって、ビオトープという言葉は、庭の池から道路、建物、河川、湖岸、あるいは、広範囲な農地や山地を含む空間まで、非常に広範囲な場に対して用いられており、さまざまな都市化された場において、自然を再生し、生物の生息場所を確保するテクニックを近自然工法と呼んでいる。

2.河川
 これまで日本の河川は、直線化されコンクリート化されてきた。治水のみが河川管理の目的であり、最も経済的な方法が選ばれてきたのである。
 しかし、河川も都市の中で貴重な自然の空間であるという認識が広まり、河川は人間のためだけに存在するのではなく、魚や鳥や虫など生物にとっても重要な棲み家であるという事が社会的に認められるようになってきた。
 したがって、直線化され、コンクリート化された河川をもう一度蛇行し、草や木の生えた河川に戻していこうという考え方が強くなってきている。

3.緑
 庭や道路は、当然、植栽され緑の空間を形成しているが、都市の中で緑の回廊をつくり、水辺や山と連結していくような考え方が強くなってきている。また、都市の内部ではヒートアイランド現象などで気温が上昇しており、屋上緑化や壁面緑化、あるいは、駐車場の緑化などが始まっている。

 都市の緑化を考える場合、当然、都市計画が重要となってくる。形成された都市空間に計画的に公園や緑地帯を形成することがまず重要であり、公園や緑地帯において、いかに生物の生存する場を提供するかという土木的なテクニックが開発されつつある。
 この分野は、概念的にも新しい考え方を含み、また、生物の生息に関する知識と土木工事の知識の両者を必要とする分野といえる。